人吉市にあるJR肥薩線の「大畑(おこば)駅」に来ています。周辺に人家はなく、山の中にポツンとある無人駅です。
でも、ここは鉄道ファンにとっては人気の聖地。駅の構内にはおびただしい数の名刺が貼り付けてあります。全国から訪れるファンが貼付けていくのだとか。「名刺を貼ると出世する」という説も…。しかし、個人情報をこんなに無造作に公開してもいいものでしょうか(笑)。
この大畑駅、標高は294.1m。JR肥薩線の山線と呼ばれる険しい区間にある駅で、大畑ループ線の中にスイッチバックのある日本で唯一の駅だそうです。開業は明治42(1909)年。蒸気機関車の山越えのために設けられたもので、当時の鉄道建設技術の最先端が注ぎ込まれているとか。
大量の水を消費する蒸気機関車への給水のために造られた石造りの給水塔跡です。当時は石造りの土台の上に鉄製の水槽が据えられていたそうです。また、ホームには洗面や手洗いに利用されていた風情ある水盤も残っており、駅舎とともに近代化産業遺産に認定されています。
大畑駅のお隣の「矢岳駅」です。隣といっても大畑ループをぐるっと回っているんですが…。ここは標高536.9mと肥薩線でもっとも高い位置にある駅です。
敷地内には「SL展示館」があり、SL「D51・170号」が保存されています。この機関車は昭和14年3月に製造され、20年11月から47年3月までの間、人吉機関区に配属され肥薩線を中心に活躍していたそうです。主に貨物輸送用に使われ、トンネルの多い山岳路線を走るために集煙装置と重油併燃装置を装備しています。現在、「SL人吉」として熊本ー人吉間を走っている58654号は、かつてこの機関車と並んで保存されていたそうですから、この機関車もひょっとすると復活する日が来るかもしれませんね。
ちなみに私、きょうは人吉ー吉松駅間を走っている観光列車「いさぶろう号」か「しんぺい号」に乗って、ループ線とスイッチバック体験をしようと友達とやって来たのですが、残念ながら数分前に列車が通過してしまったようで間に合いませんませんでした、ハハハ…。また次の機会に体験しようと思います。